暴風の旅路。三斗小屋温泉『大黒屋旅館』

4月の残雪期。三斗小屋温泉に向かいました。峰の茶屋避難小屋の名物・強風は、往路が20m/sで復路が40m/s。
人間て、ほんとに風で飛ぶ。って事が確認できた山旅でした。




いざ、三斗小屋温泉へ

秘湯・三斗小屋温泉へは、那須側・那須岳ロープウェー山麓駅から徒歩2時間。
山麓駅までは、那須湯本からバスでアクセス可。
春は三斗小屋温泉が営業していても、ルート上は積雪と強風に晒される。勿論、登山装備で行くことになります。

この先は徒歩。百名山那須岳登山口。


あの峠の先に温泉旅館はあるはず。あの峠こそ、強風で有名な峰の茶屋避難小屋。
この先強風・危険につき、あの峠を降るまで写真はありません。


逆側に降りてきました。そう。この時は復路がさらに大変なことになる事も知らず・・・


まだ道は続く。この先に温泉旅館があるはず。


そうこの先に・・・


本当に温泉旅館なんてあるのか?と思ったくらいの時に、なんと現れました。温泉旅館。
現在、三斗小屋温泉で営業しているのは、大黒屋旅館(左側)と、煙草屋旅館(右側)の2つ。

それにしても、何でこんなところに温泉宿が?と思いますよね。実はその昔、三斗小屋は、関東から会津への近道となっていたルート上にあります。そのため、昔は牛が歩いてたり、戊辰戦争で焼けたりと色々あったとの事。

登山地図を見ると、西側に廃村や墓地もあるようで、昔の三斗小屋宿はそっちにあったのでしょう。

こちらの三斗小屋温泉は、戊辰戦争後、明治時代に再建されたものだそう。

大黒屋旅館に到着

今回は、煙草屋旅館と迷いましたが、大黒屋旅館に宿泊しました。

大黒屋は、山奥ながらも全室個室で、朝晩・部屋食。さすが旅館といった感じですが、設備などを考慮すると、山小屋と旅館の中間のような存在です。4月でもまだ雪の中。というか、雪が降ってます。


外観が渋くて素敵。


新旧混在する、共用部も素敵。


お酒も売ってますが、山奥価格。運搬費も馬鹿にならないので当然ですが。
自分で担ぎ上げるか、お金で解決(現地で購入)するかは、心が試されます。


こちらは客室。布団はセルフですが、羽毛の掛け布団は驚くほどフカフカ。
そして築造100年以上の客室は、窓も同じだけ古い。夜通し強風でガタガタいっていた。気になる人は、耳栓が必要かもしれない。
ちなみに消灯は夜9時です。


ストーブは有料で、1人500円。とはいえこの辺りの4月の夜の平均気温は氷点下。
機密性もほぼ無い建物なので、ストーブは必需品です。

大黒屋のお風呂

浴室は2つ。内風呂と、岩風呂。
男女入れ替え制で1時間交代なので、結構頻繁に入れ替わります。




岩風呂

岩風呂はかなり湯温が低く、40度以下。
真夏でもない限りは、風呂上がり寒いです(笑)。宿のスタッフもあまり勧めてませんでした。

かなり湯温が低いですが、源泉の量はすごい。入ってみると、最初は暖かい気がします。
しかしそのうち、ぬるい気が・・・でも外がそれより寒いので、出たくなくなり・・・のループ。結局ずっと浸かっている羽目に。
夏に入ったら良さそう。

内湯

こちらは内湯。左側が熱湯で、右側が温湯。
風情が素敵すぎる。山を眺めながら極楽のひと時。
ちなみに、どちらの浴室にも洗い場はありませんし、石鹸も使えません。
(山中で下水処理できない為)


明治時代の温泉分析書。書いたのはドクトル・ベルツ。
そう。草津温泉の功労者。ベルツ博士でございます。


現代版分析書もあります。泉質は単純温泉。
泉質の効果はさておき、ここまで来れば転地効果は尋常ではないでしょう。

大黒屋の食事

この日の夕食メニューは、湯葉やお浸し、ビーフシチュー?に加え、メインは鮭のフライ。
担ぎ上げてくれたスタッフに感謝しながら頂きます。
沢山歩いて、温泉に入って、良い空気を吸って、健康的な食事。素晴らしい。


朝食はご飯のお供ラッシュ。漬物に納豆にのり、温泉卵に味噌のしそ巻き。とにかくご飯が進む。


朝も晩も、ご飯はおひつで貰います。

地獄の復路

昨晩は一日雪が降り続け、朝には大黒屋も真っ白に!
その上、稜線上は昨日を超える強風らしい・・・


風が凄すぎて写真はありませんが、何とか帰還。
峰の茶屋避難小屋の名物・強風はこの日40m/s。
私も国内の3000メートル峰を約半分ほど、単独でスキー滑走しておりますが。。この強風にはビビりました。


そしてこの日、峰の茶屋で風に飛ばされた人は、1回転して骨折・・・

皆さんも、よく天気予報を確認して、登山装備でお出かけください。

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